野球におけるケガで一番厄介なものが、野球肘です。

成長期の肘内側のケガはすぐ治りますが、
高校生以上になると肘内側側副靭帯の損傷が増えます。

いわゆる靭帯が切れると、トミージョン手術が必要になるケガです。
ダルビッシュ選手や松坂大輔選手がした手術ですね。


ただ、肘内側側副靭帯損傷は、リハビリで高率に治ります。
部分損傷で7~8割、完全損傷で3割程度治ります。(参考文献1,2)
もし肘内側のケガで悩んでいる選手がいればこのブログをみてください。




今回は、その肘のケガを予防するためのチェックポイントを載せます。

ポイントは2点です。
①肘の可動域
②肘の筋力、痛みの程度





①肘の可動域
図1

図2


自分の肘が伸ばして、曲げて、どれくらい動くか把握してください。

投球を続けていると、投球側の肘の曲げ伸ばしが普段からしにくくなっている選手がいます。

ただ痛みがなければその動きの制限は問題になりません。


ポイントは普段の可動域から制限がでているかをチェックすることです。



②肘の筋力、痛みの程度
肘痛み

上の図の形をとって、肘に痛みがある場合は投球しないほうがいいと思います。

なぜなら、投げる際には必ずこの形になるからです。

ただ、小指、薬指を強く握って同じ形をしたときに、
痛みがなくなる場合は前腕の筋力低下が痛みの原因になっている可能性があります。

この場合は、これからのせる改善運動の前腕筋力強化をしてもらうと痛みがマシになると思います。





☆改善運動

①肘ストレッチ

肘ストレッチ

これは単純なストレッチになります。
特に、小指、薬指をしっかり持って伸ばすようにしてください。
30秒ずつくらいでいいと思います。




②肘ストレッチ2
尺骨神経ストレッチ

上のストレッチと違う点はゆっくり動かすことです。

左の図の状態でストレッチの前腕を伸ばします。

この状態から右の図のように肘を曲げていきます。
※この時にもストレッチはした状態です。

また肘を伸ばしていきます。

これをゆっくり10回繰り返してください。



③前腕筋力強化

〇手関節尺屈運動
前腕尺屈


〇手関節回内運動
前腕回内


チューブを左の図のように持ちます。
※小指と薬指で握るのがポイントです。


上の図のように2種類の運動を行います。
最初は肘を曲げた状態で、次に肘を伸ばした状態でも同じように行います。


前腕の小指側に筋肉に負荷がかかれば、やり方はあっています。
前腕小指側の筋肉を意識的に鍛えるようにしてください。

この筋力が肘内側の靭帯と一緒に働くと肘の痛みをなくなります。




野球肘は、肩、肩甲骨、体幹、股関節、投球モーションと、
いろいろな原因が考えられます。


肘の可動域、筋力だけではなく、全般的な治療が必要です。

肘の痛みで悩んでいる野球選手は、
このブログの他の投稿も参考に、一つずつチェックし、改善させてください。


〈参考文献〉
1:      Non-operative management of ulnar collateral ligament injuries in the throwing athlete

   Mia Smucny , Cleveland Clinic Foundation The physician and sportsmedicine,2017

2:
      成人野球選手の肘内側支持機構障害-内側上顆下端の遺残裂離骨片のUCL損傷への影響について-慶友整形外科病院 古島 弘三:2014:日整スポ